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【8月1日付社説】全国学力テスト/教える力の底上げが急務だ

2025/08/01 08:10

 児童生徒の学力だけではなく、教員の教える力が問われている。調査から見えた課題を授業の改善につなげることが大切だ。

 小学6年と中学3年を対象とした文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、本県は国語と算数・数学、理科の平均正答率がいずれも全国平均を下回った。全国平均との差は、算数については前年度から0.4ポイント、数学は同1.2ポイント縮まった。

 県教委は算数・数学の結果に「改善の兆しが見られる」としている。また、学習状況などを聞く調査では、自ら考えて主体的に学習できているかについて問う項目で「できている」と回答した割合が、全国平均より2~3ポイント高かった。県教委はこれを踏まえ、自ら学ぶ姿勢が児童生徒に浸透していると評価している。

 「自ら学ぶ姿勢」といった意識の問題でくくってしまえば、改善すべき点を見逃してしまいかねない。「改善の兆し」が見えたとすれば、それを確固たるものにしていかねばなるまい。

 学ぶ姿勢を培うのにはどんな手法が効果的だったのか、どんな授業を受けている児童生徒の正答率が高かったのかなどを詳しく分析することが重要だ。

 学習状況調査では、平日の学校外での学習時間について「1時間以上」との回答が児童生徒とも全国平均を上回っているとのデータも示された。学ぶ意欲があり、学習時間も確保しているのであれば、学力は全国平均を上回っていてしかるべきだが、そうなっていない。意欲とかみ合った学びを提供できていない恐れがある。県教委や学校などは危機感を強く持ってもらいたい。

 学校単位で全国平均を上回る正答率となった県内の小学校の関係者は「一人一人の教員の力では限界がある。学校ぐるみで方法とその狙いを共有して初めて成果が見込める」と話す。県教委などには従来型の好事例の共有にとどまらず、学校単位でその実践を強く促すことが求められる。

 学習状況調査では、タブレットなどのデジタル端末の授業での活用程度も聞いている。本県は「ほぼ毎日使っている」との回答が小学校で全国平均を15ポイント、中学校で同4ポイント下回った。「ほぼ毎日」と回答した児童生徒は全教科で正答率が高い傾向がみられる。

 デジタル端末の学習効果を疑問視する声があるものの、利用頻度と正答率に相関があれば軽視できまい。デジタル端末の利用について県教委、市町村教委が一定の指針を示す必要がある。

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