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【8月14日付社説】豪雨への備え/経験にとらわれない判断を

2025/08/14 08:05

 九州や北陸など西日本を中心に記録的な豪雨が相次ぎ、河川の氾濫や土砂崩れが発生している。建物などの浸水被害のほか、車が川に流されたり、土砂が住宅に流れ込んだりして犠牲者も出ている。

 低気圧や停滞する前線などが大雨の要因となっている。局地的に猛烈な雨を降らす線状降水帯も各地で発生している。本県では2023年9月に浜通りを中心に甚大な被害をもたらした。

 地球温暖化の影響もあり、これまで経験したことのないような豪雨が、いつ、どこで起きてもおかしくない。線状降水帯は発生メカニズムに未解明な部分が多く、予測が難しい。過去の経験にとらわれずに避難などの行動に移せるよう、意識を高める必要がある。

 自治体は過去に例のない災害が起きることを想定し、防災や減災の対策に取り組むべきだ。浸水や土砂災害の発生の恐れがある箇所を詳細に検証し、道路や河川設備の耐久性を確認するなど、必要な対策を講じてもらいたい。

 豪雨災害では避難の遅れを指摘されることが多い。激しく雨が降る中での避難はためらいがちだ。しかし最近は前線が停滞し、いつまでも雨が降りやまず、被災リスクが一気に高まるケースがある。

 気象庁は数十年に1度クラスの経験したことがないような雨が予想される場合、大雨特別警報を発表する。発表時点では、既に対象地域で土砂崩れや浸水などの災害が起きている可能性が高い。

 雨雲の動きや降水量などの気象情報、自治体の呼びかけに注意を払い、迅速に行動することが命を守る。高齢者などは自治体が避難所を開設した時点で避難を検討すべきだ。貴重品や衣服、服用している薬など非常時に持ち出すものをまとめておくよう心がけたい。

 夜間や浸水被害などが発生した段階での避難は危険だ。今回の九州北部の豪雨では、車で避難中に土砂崩れに巻き込まれたり、川に流されたりした人がいる。

 自治体指定の避難所への移動が困難な場合は、2階以上への「垂直避難」が推奨されている。自宅周辺のハザードマップを確認し、どこに避難するかについても冷静に判断することが求められる。

 県は昨年秋、発災時の避難の注意点などをまとめた「ふくしまマイ避難ノート」を改訂した。線状降水帯の危険性など新たな情報を盛り込み、避難行動の判断の目安などを記している。

 これから台風の襲来も想定される。県のマイ避難ノートなどを参考に、あらゆる事態への備えを強化することが大切だ。

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