郡山市駅前で1月、酒気帯び状態で車を運転し、大阪府から受験で訪れていた女性=当時(19)=をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と酒気帯び運転の罪に問われた同市昭和1丁目、無職の男(35)の裁判員裁判初公判は8日、地裁郡山支部(下山洋司裁判長)で開かれた。男は「赤信号と分かっていて、殊更に無視したわけではない」と起訴内容を一部否認し危険運転致死傷罪の成立を争う姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、男は事故前日の午後10時10分ごろ~翌日午前4時ごろの間、同市の飲食店で酒を飲んでいたと説明した。事故を起こした交差点を含む四つの交差点でいずれも赤信号を無視して進入し「信号表示に従うつもりがなかった」と指摘。弁護側はアルコールの影響で「注意力が散漫していた」と主張。事故を起こした交差点では「赤信号を見落とし、目の前に突然人が現れたと同時に事故を起こした」と、故意に赤信号を無視したわけではないと反論した。
証拠調べでは検察官が「事故ではなく被告人による殺人。刑務所で一生償ってほしい」と訴えた女性の母親ら遺族の供述調書を読み上げた。母親は事故発生前の朝には娘と電話をしており「もう1分でも長く話していれば事故に遭わなかった」と悔やんだ。
起訴状によると、男は1月22日午前6時半ごろ、郡山駅前の市道を酒気帯び状態で軽乗用車を運転し、赤信号を無視して制限速度を超える時速70キロで交差点に進入。大学受験のため大阪府から訪れていた予備校生の女性をはねて死亡させたほか、自転車に乗っていた20代女性を転倒させて加療約2週間のけがを負わせた、としている。
次回公判は9日午前10時から、被告人質問と証人尋問を行う。判決は17日。