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最低賃金引き上げ、中小企業へ支援策 福島県、価格転嫁や専門家派遣

2025/09/26 09:55

 福島県は25日、県内の最低賃金が大幅に引き上げられることを受け、県内中小企業の支援を強化する方針を明らかにした。物価高騰が長期化する中、引き上げの影響が特に大きい中小企業からは経営への影響を懸念する声が出ている。県は人件費上昇分の価格転嫁を進める中小企業を後押しするなど支援策を講じ、県内企業への影響を最小限に抑えたい考えだ。

 本県の最低賃金を巡っては、福島地方最低賃金審議会が今月、現行から78円引き上げる時給1033円とするよう福島労働局に答申した。引き上げ幅は過去最大だった。

 ただ県内では長引く物価高騰で原材料費やエネルギー費、人件費の上昇が続く一方、商品・サービス価格への転嫁は十分に進んでおらず、中小企業の経営環境は厳しい状況にある。特に人件費は、原材料費などに比べて価格交渉の際に上昇の根拠を示すのが難しく、価格転嫁が進んでいないのが現状だ。審議会の答申にも実態を踏まえ、県や国に早急な支援を求める意見が盛り込まれた。

 このため県は、人件費を含めたコスト上昇分の価格転嫁を進める県内中小企業への支援をさらに強化する方針だ。10月には福島市で価格転嫁に関する企業向け講習会を開くほか、企業が適正な価格取引の実施などを宣言する国の「パートナーシップ構築宣言」の推進にも引き続き取り組む。

 このほか、専門家の派遣やデジタル変革(DX)推進による生産性向上、省エネ設備の導入促進などを軸に、追加の支援策も検討する。最低賃金引き上げが適用される来年1月1日に向け、事業所や商工関係団体から意見を聞き取り、効果的な支援を探る方針だ。

 25日の9月定例県議会で佐藤徹哉議員(自民党、郡山市)の一般質問に答えた内堀雅雄知事は「経営への影響を心配する切実な声を重く受け止め、事業者や商工関係団体などから広く意見を聞きながら、支援策の検討を進めていく」と述べた。

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