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宅地の立ち入り緩和 帰還居住区域・双葉の3行政区

2025/11/05 08:40

立ち入り規制緩和に伴って開かれたバリケード。特定帰還居住区域内の宅地では初の緩和となった=4日午前9時、双葉町長塚

 政府は4日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域内で避難指示解除を目指す「特定帰還居住区域」のうち双葉町の下長塚、三字、羽鳥の3行政区で立ち入り規制を緩和した。特定帰還居住区域を設定している6市町村で、宅地の立ち入り規制を緩和するのは初めて。原発事故から14年8カ月を経て、住民は許可なしで24時間出入りできるようになり、古里への帰還に向けた準備を進める。

 午前9時に内閣府の担当者の合図で特定帰還居住区域の入り口となるバリケードが開くと、警戒に当たるパトカーなどが入っていったほか、自宅を訪れた町民もいた。中里俊勝町住民生活課長が報道陣の取材に応じ「2026年度の避難指示解除を目指し、関係機関とスピード感を持って必要な取り組みを進め、一刻も早く古里に帰還したいという町民の思いに応えていきたい」とする伊沢史朗町長のコメントを代読した。

 町内では、9行政区計530ヘクタールが特定帰還居住区域に設定されている。このうち下長塚、三字、羽鳥の3行政区はいずれも特定復興再生拠点区域(復興拠点)として22年8月に避難指示が解除された地域と帰還困難区域が混在。町は分断解消に向け、3行政区の約110ヘクタールを先行して立ち入り規制を緩和し、26年度の避難指示解除を目指している。

 対象区域の居住世帯は約60世帯。除染の対象面積は約82ヘクタールで、今年10月末時点で5割が完了しているほか、家屋解体は申請48件のうち26件が終えた。区域内では防犯のため新たに戸別巡回パトロールを実施。町は、対象の住民が町内の宿泊施設に泊まった際に12泊を上限に1泊当たり1人4500円を補助し、町内に滞在して帰還準備を進められるようにする。

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