福島医大医学部放射線健康管理学講座の阿部暁樹(としき)研究員(28)らの研究チームは、東日本大震災後に仮設住宅に入居した相馬市の高齢者4680人を対象に身体能力を追跡調査した結果、震災後10年間にわたり「バランス能力」への影響が見られたとする論文をまとめた。バランス能力や転倒予防に注力した「長期的な取り組みが必要」としている。
研究チームは2013~22年に運動器健診を受けた64歳以上の相馬市民を対象に追跡調査を実施。4680人のうち仮設住宅の入居経験者(440人)と非経験者(4240人)の群に分け、筋力の指標として「握力」、バランス能力の指標として「片脚立ち時間」の健診結果を分析した。
その結果、13年の「片脚立ち時間」の平均は経験者群が非経験者群より3.8秒短く、その後も一貫して非経験者群より短かったという。握力は両群間で差が認められなかった。研究成果が国際誌「JMAジャーナル」に掲載された。
