福島県は8日、いわき市で防災イベント「そなえる・ふくしま2025―いのちを守るマイ避難」を開いた。県内でクマによる人身被害と目撃情報が過去最多を更新し続けている「非常事態」を受け、クマ対策に特化したブースを出展。クマの剥製の展示や、生態を紹介するパネルの設置を通して来場者にクマへの注意を呼びかけた。
内堀雅雄知事も参加したワークショップでは、県野生動物調査専門官で獣医師の溝口俊夫氏が、クマの出没が多発している背景を説明。人身被害を防ぐため、日の出前や日没後に徒歩で外出することを控えたり、畑や果樹園の見回りを車で行ったりするよう求めた。
溝口氏は「クマは人里で何とか餌を食べようと気が立っている。遭遇した場合は距離が遠ければ後ずさりし、近い距離なら首と頭を守る『カメの姿勢』を取ってほしい」と強調した。
藤本美貴さんと内堀知事が対談
防災をテーマにタレントの藤本美貴さんと内堀知事による対談も行われた。藤本さんは災害に備えて家庭でレトルト食品のローリングストック(循環備蓄)を実践していることを紹介し「普段から家族で防災について話し合い、子どもたちが思い出すきっかけをつくることが大事」と話した。
内堀知事は「住んでいる場所によって、起きやすい災害は違う。どんな災害が起きるか考えておくことが大切だ」と語り、県の防災アプリや「ふくしまマイ避難シート」の活用を促した。
イベントは、自然災害が激甚化・頻発化する中、日頃から自分に合った適切な避難行動を考え、災害に備えてもらおうと開催。約40の企業、団体が展示や体験ブースを設け、来場者が防災や減災について学んだ。
