安倍晋三元首相が奈良市で選挙の応援演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で2年となった。現場には献花台が設置され、多くの人が訪れた。事件を機に、旧統一教会の高額献金問題や「宗教2世」の厳しい境遇が社会の注目を集めたが、再発防止や救済は道半ば。演説の警備の在り方にも影響を与えた。社会に突き付けられた課題は大きく、「凶弾の余波」はいまも続いている。
近鉄大和西大寺駅前の現場は事件後、車道として整備された。近くに慰霊碑はなく、自民党奈良県連が7日、一般向けの献花台を設置。追悼に訪れた大阪府羽曳野市の無職南里敏子さん(77)は「事件によって宗教2世の問題が明らかになった。なぜ安倍さんが対象だったのか、詳しい動機を公判で知りたい」と話した。
事件は2022年7月8日午前11時半ごろ発生。山上徹也被告(43)が安倍氏を手製銃で銃撃し殺害したとして殺人罪などで起訴された。母親が教団に多額の献金をしており「(教団を韓国から)招き入れたのは岸信介元首相。だから(孫の)安倍氏を殺した」と供述したとされる。