パリ・パラリンピックの難民選手団の一員に選ばれ、トライアスロンに出場するシリア出身のイブラヒム・フセイン(35)が12日までに取材に応じ、3大会連続出場となる祭典へ向け「夢を実現させる姿を見せ、難民の人々が新しい人生へと踏み出すきっかけを与えたい」と意気込みを語った。
2012年に祖国での内戦で砲撃を受けて右脚の一部を失い、移り住んだギリシャで難民申請が認められた。幼少期から水泳に打ち込み、難民選手団が初結成された16年リオデジャネイロ、21年の東京大会では競泳に出場。今大会は22年に転向したトライアスロンで出場権を得た。
自らを「争いの産物」と表現し、中東などでの戦禍に心を痛める。「難民となるのは、いつも罪のない市民ばかり。彼らの声を届けるのが、その痛みを知る私の役割だ」と使命感を口にする。
開幕まで50日を切ったが、個人で活動するフセインは活動資金が不足している。8月中旬までクラウドファンディングで寄付を募っており、目標金額は100万円。「協力をお願いしたい」と支援を呼びかけている。