障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とし、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、岸田文雄首相は17日、原告らと官邸で面会し「政府の責任は極めて重大だ。心から申し訳なく政府を代表して謝罪申し上げる」と述べ、初めて被害者に直接謝罪した。訴訟を起こしていない幅広い被害者への補償や、係争中の訴訟で和解による解決を目指す意向を表明した。
首相は「少なくとも約2万5千人もの方々が、重大な被害を受けたことは痛恨の極みだ」と強調。不法行為から20年で損害賠償請求権が消える「除斥期間」の主張を撤回するとし、手術を受けた本人だけでなく配偶者も補償の対象とすることを明らかにした。1948年に旧法が施行されてから約76年。約半世紀続いた「戦後最大の人権侵害」の解決に向け、ようやく救済に道筋が付いた。
面会には原告や弁護団、支援者ら約130人超が出席。全国被害弁護団の新里宏二共同代表は「全被害者の救済のため尽力してほしい」と要請。原告側は補償法制定や被害検証などを求める全面解決要求書を首相に提出した。