パリ五輪の柔道女子52キロ級で連覇を目指す阿部詩(24)は、女性が充実したライフスタイルを築ける社会を目指して発足したプロジェクト「W society」の活動に賛同し、アンバサダー契約を結んでいた。啓発動画の中で「未来のために今の自分自身の状況を知ることが大切だと思った」と語り、キャリアとライフイベントの両立を見据えていた。
プロジェクトは2021年、心身的課題と社会的課題の両面から女性が活躍できる環境をつくる目的で、経団連の後援を受けて発足。主宰者の谷村江美さん(42)が「社会の中で生理や妊娠・出産、更年期など女性のヘルスケアへの啓発や制度が不十分ではないか」と考えたのがきっかけだった。トップアスリートとして日々の体調管理がとりわけ求められる阿部に谷村さんがアンバサダーを打診した。
1年間の活動で印象に残っているのは、卵巣の中にどれくらい卵子が残っているかを調べる「AMH検査」のために産婦人科に同行したときのこと。卵子凍結について積極的に質問するなど前向きに情報収集する姿にプロ意識を感じたという。