岸田文雄首相は7日の自民党憲法改正実現本部で、憲法9条への自衛隊明記の論点整理に関し、8月末を目指して議論を加速するよう指示した。「いついかなる時でも、国民の命を守るという国家の最も重要な責務をこの国の最高法規の中にしっかり明記する」と述べた。9月の総裁選を控え、改憲議論の前進を求める保守層へのアピールを狙ったとみられる。
首相は、憲法改正の国民投票に触れ「緊急事態条項と併せて、自衛隊明記も国民の判断をいただくことが重要だ」と強調。自民が来年、結党70年の大きな節目を迎えるとして「党是である憲法改正の議論を進めるよう、自民党総裁としてもお願いする」と訴えた。
会合では古屋圭司本部長が、9条への自衛隊明記などの論点を整理する作業部会の新設を表明。緊急事態時の国会議員任期延長の条文案を作成する作業部会も別途設ける。
これまでの党内議論で「参院の緊急集会」は憲法で定める唯一の緊急事態条項で、参院の重要な権能との認識を共有。緊急集会は「国会の代行機関」として、原則、国会の権能全てに及ぶと整理した。