77人が亡くなった2014年8月の広島市の土砂災害から20日で10年となった。甚大な被害が出た安佐南区八木地区では午前2時半ごろ、遺族らが慰霊碑に手を合わせて犠牲者を追悼した。災害後にできた砂防ダムの壁には「忘れない」などの文字が映し出された。松井一実市長は同地区の市立梅林小学校に設けられた献花台に花を手向けた。
犠牲者25人の名前が刻まれた慰霊碑の前で未明、住民らが「いつまでも忘れません」などと書かれた紙灯籠に明かりをともし、「8・20」の形に並べた。
午前9時ごろには、松井市長と斉藤鉄夫国土交通相が梅林小の慰霊碑を訪れ、献花台に供花。松井市長は追悼の言葉の中で「都市計画道路の整備を着実に進め、広域避難路を完成させる」と述べた。兄夫婦を亡くした広島市の立川新三さん(87)は慰霊碑に刻まれた2人の名前をなで「被爆や学童疎開をともに経験した兄を亡くした痛みは尽きない」と語った。
土砂災害は14年8月20日未明、短時間の局地的な豪雨によって発生。74人が死亡、3人が災害関連死として認定された。