今年のノーベル平和賞に決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員田中熙巳さん(92)が22日、日本外国特派員協会(東京)で記者会見した。「核兵器を絶対になくさないといけないと被爆者は確信している」と強調。被爆者の高齢化を踏まえ、今後の活動は「2世や若い人が中心となりやっていってほしい」と話した。
ノーベル賞委員会が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、米国の「核の傘」に依存するノルウェーにあることに触れ「被団協に(平和賞を)あげられない事情があると思っていたので心の準備をしていなかった。大変うれしい。国際情勢がそうさせたのだと思っている」と語った。
被爆者は体験を言葉だけでなく、絵などさまざまな形で伝える活動を続けてきたが、原爆被害の実相が十分に理解されていないと感じるという。「核政策を否定しない日本政府の方針を変えさせるだけの声になっておらず、どうすればいいか最大の悩みだ」とした上で「目撃した被爆者は私ぐらいで最後の世代。生きている間に実態を伝えていかないといけない」と訴えた。