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「汗っかき」と「多汗症」自分はどっち? 汗やニオイに悩む人に皮膚科医が解説

08/08 06:30

  • その他
「汗っかき」じゃ済まない?

 全国で高温が続いており、記録的な猛暑になっているこの夏。汗の量やニオイが気になる人も、より一層増えるのではないだろうか。従来、汗をかきやすい体質の人を「汗っかき」と称してきたが、最近では「多汗症」なる言葉も一般化した。果たして自分は「汗っかき」で済むのか、それとも疾患である「多汗症」なのか? その違いについて、クリニックフォア監修医で、皮膚科専門医の圓山尚先生に聞いた。

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■脇汗が滴り落ちる、手が汗で濡れる…「多汗症」の基準は?

――「汗っかき」と「多汗症」、違いはあるのでしょうか?

 「『汗っかき』と『多汗症』には、実は明確な基準があります。『多汗症疾患重症度評価度(HDSS)』というものがあり、スコア1から4の段階で分かれています。スコア3を超えたら多汗症と言われ、治療の適用内に入り、疾患として認定されます」

――それはどれぐらいの汗の量になるのでしょうか?

 「例えば手が常に濡れているとか、脇汗が常に滴り落ちる、シャツを着ていたらあっという間に汗じみが広がる…といったケースですが、厳密な検査方法があるわけではないので明確に言うのは難しいですね。ちなみに汗腺は幼少期には数が決まると言われています。なので、大人になって急に発症した…というようなことは通常はあり得ません。もし気になるようなら、医療機関に相談したほうがいいでしょう」

――実際、診察に来られる方々からはどのような相談があるのでしょうか。

 「『汗の量やニオイが気になるから汗を止めたい』という方が多いです。また、親子で受診して『子どもが受験生だが、緊張するとテスト用紙を汚してしまうほど手から汗が出る。テストにならないから汗を止めてほしい』と相談されることも時々あります。こうなると日常生活に支障が出るレベルと言えるので、治療をしたほうがいいと思います。女性は『お化粧が汗ですぐに崩れてしまう』という相談もありますね」

――どのように治療するのですか?

 「飲み薬はあるのですが、治療効果には個人差やばらつきがあるため、一番手っ取り早い方法として、ボトックス注射を打って汗を止めるという方法があります。また、ここ数年でゲルやシートタイプの塗り薬も出てきて、保険適用されるようになりました。ワキガの場合は電子レンジと同じようなメカニズムで汗腺を焼いてしまう、といった治療法もあります」

――塗り薬もあるんですね。

 「ただこのような新しい塗り薬は、緑内障や前立腺肥大の方は使用できないので注意が必要です」

――昨今は「スメハラ」という言葉があるように、ニオイに非常に敏感。汗による匂いを自分で軽減する方法はあるのでしょうか?

 「ニオイの強い食べ物を避ける、衣服の布地の種類で調整する…など言われますが、そこまで相関関係はないように思います。汗っかきでも多汗症でも、とにかく汗やニオイで悩んでいるのであれば、一度診断を受けてみてください。最近ではオンライン診療でも保険適応で多汗症の治療が可能です。医学的な治療法をご案内できますし、悩み解消で症状はもちろん、精神的にも落ち着くことができると思います」

【監修】
圓山 尚(えんやまたかし)
クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。

(文:衣輪晋一)

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