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15歳長男を集団リンチで亡くし…加害者の逃げ得を許さぬ 遺族らの活動を追うドキュメンタリー

08/30 16:31

  • エンタメ総合
8月31日放送『ドキュメンタリー7』より(C)テレビ大阪

 テレビ大阪『ドキュメンタリー7』(毎月最終土曜 前11:00 ※関西ローカル)は、「犯罪と贖罪~賠償しない加害者たち~」を届ける。損害賠償金がほとんど支払われない現状に、遺族たちが声を上げ国を動かそうとする姿に迫る。

【写真】同級生の集団リンチで長男を亡くした高松由美子さん

 兵庫県の高松由美子さんは1997年8月、長男・聡至君(当時15歳)を同級生ら10人による集団リンチで亡くした。少年の健全な育成を理念に施行された「少年法」が壁となり、加害者は刑事裁判を受けることはなく、加害者の弁護側だけが入った審判でも、遺族は記録を閲覧することさえ拒まれた。

 その直前には、神戸連続児童殺傷事件が起きた。日本中を震撼させた凄惨な犯行にも関わらず、土師淳君(当時11歳)の父・守さんをはじめ、家族を殺された被害者遺族には何の権利もないことが浮き彫りとなった。

 遺族たちは声を上げ始め、2000年に全国犯罪被害者の会「あすの会」を結成。全国で講演活動を行うなど地道な活動が、犯罪被害者等基本法の成立につながり、刑事裁判に被害者が参加できる制度や、少年法の改正も行われた。

 一方で「遺族の経済的困窮」はいまだ解決していない。国が給付する犯罪被害給付金の最低額は、今年6月に320万円から1060万円に大きく引き上げられた。しかし、加害者が支払う賠償金が支払われた割合は、殺人事件の場合13.3%、傷害致死でも16.0%と極めて低い。

 一度解散した「あすの会」が2022年に再結成され、今年7月、東京でシンポジウムを開催。 ここで遺族らは、加害者の逃げ得を許さぬよう国が賠償金を立て替え、加害者から徴収する制度、そして被害者がたらい回しにならないよう被害者関連の施策を一元的に統括する行政組織「犯罪被害者庁」の設立を求めた。

 遺族の切実な訴えは、果たして国に届くのか。そして、制度の実現に向けて国が動き出すことはできるのか…。

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