避難指示解除の動きが進む中、伊藤泰夫県避難地域復興局長に今後の対応や支援策などを聞いた。
―政府は来年3月までに居住制限、避難指示解除準備両区域の避難指示を解除する方針だが、県の対応は。
「解除については市町村に国と協議してもらい、県は市町村の立場に立って取り組む。必要な財源確保は市町村と一緒に国に要望している。帰還したい人がいても、インフラなどの環境が整備されないと帰れないので、(整備に向けて)しっかり取り組んでいく」
―住民から避難指示解除延期を求める声もある。
「解除には賛否両方ある。ただ、解除イコール『必ず帰って』ということではない。避難解除は強制的に住めない状況から(住むかどうか)判断できる環境に変わるということだ」
―避難指示が解除された町村でも住民がすぐに帰還するという状況ではない。
「子どもの学校の問題、仕事など避難者ごとに事情があるので、なかなかすぐには帰還できない。避難者が自分で考えて最終的に(帰還するかどうかを)判断するのが基本。時間をかけて、避難者が帰りたいと思うような環境を整える必要がある」
いとう・やすお 二本松市出身。東大経済学部卒。1982(昭和57)年、県職員採用。原子力損害対策担当理事、会津大理事・事務局長を歴任。57歳。