東日本大震災と原発事故後の沿岸部の動植物の生態について、武田和也県自然保護課長に現状を聞いた。
―沿岸部の現状は。
「津波や、原発事故に伴う避難指示の影響で一部の生態に変化がみられる。特定外来生物のアライグマは、浜通りを中心に生息域の広がりが推察され、農産物被害や排せつ物による家屋被害が一部で発生している。県は防除計画を昨年策定し、対策を急いでいる」
―イノシシの被害は。
「原発事故の影響で農業生産が困難な状況になったことや、狩猟意欲の低下などで一時捕獲頭数が減った。新たな助成制度を設けたことで、現在の捕獲頭数は震災前よりも増えているが、自然増などで生息頭数は震災前よりも多い。捕獲や電気柵での被害防止など複合的な対策が重要で、県も総数削減に向け本年度から直接捕獲に乗り出した」
―動植物の保護をどう進めるか。
「絶滅の恐れがあるミズアオイなど動植物1024種について、復旧・復興工事の担当部署などに情報を提供している。必要に応じて専門家から意見を聞くなど、生態系へ工事が与える影響をできるだけ抑える取り組みを進めている」
たけだ・かずや 福島市出身。千葉大人文学部卒。1983(昭和58)年、県職員採用。県教育庁福利課長、福島医大医事課長を歴任。56歳。