自民党総裁選への立候補を表明した小泉進次郎元環境相は6日、福島民友新聞社のインタビューに応じた。小泉氏は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を「ライフワーク」として本県訪問を重ねており「復興の課題に向き合い続ける」と強調した。(聞き手・編集局長 丹野孝典)
―震災と原発事故から13年半がたつ本県の現状は。
「福島に行くたびに、歯を食いしばって復興へと歩む人の姿に心を打たれる。処理水の海洋放出後、福島の海でサーフィンをしたのは、私も新たな困難に立ち向かうとの決意を身を持って示したかったからだ。震災と原発事故の記憶は薄れつつあり、風化が課題だ。道のりは長いが、住民と共に最後まで走り切る」
―環境相時代を含め除染で出た土壌の県外最終処分や再生利用について理解促進に努めてきたが、十分ではない。実現にどう取り組むのか。
「(2045年3月までの)県外最終処分は絶対に守らなければならない県民との約束だが、刻一刻と期限が迫っている。環境相時代に土壌を活用した鉢植えを大臣室に置くなど、国が率先して(再生利用に)取り組む姿勢を示した。飯舘村長泥地区では畑などで再生利用に取り組んでいる。今後もどんな活用方法があるのかを住民と一緒に考えたい。国民の理解を得ることは簡単ではないが、諦めずに努力し続ける」
―第2期復興・創生期間終了後の復興財源が先細りする懸念がある。こうした声にどう対応するのか。
「仮に総裁、首相に就任すれば、これほど福島を訪れた首相は過去にいない。福島の実情は十分に理解しており(復興財源については)『全くご心配なく』と伝えたい。ただ、どんな立場であろうとも福島の課題に向き合う」
―処理水の海洋放出に反発する中国が日本産水産物の禁輸を続けている。打開に向けた考えは。
「海外のどこにでも常磐ものを輸出できる環境整備が市場拡大に向けて不可欠だ。中国との間にはさまざまな懸案があるが、(国の)トップ同士のオープンな対話の場を閉ざしてはならない。(首相になれば)強い外交を展開する」
―本県へのインバウンド(訪日客)誘客も課題だ。
「幼い頃、おやじ(小泉純一郎元首相)が毎年、箕輪スキー場に連れて行ってくれた。当時見た五色沼の景観は今でも忘れられない。馬刺しを初めて食べたのも福島だった。自然や食べ物の素晴らしさを国内外に伝えるためにできることはたくさんある。自民党サーフィン議員連盟の幹事長も務めており、浜通りに世界大会を誘致したい。いかに福島に目を向けてもらえるか、これまでの政府の取り組みを上回る成果を目指す」