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【10月4日付編集日記】失敗と成功

10/04 08:00

 67年前のきょう、ソ連が人類初の人工衛星を打ち上げた。当時は冷戦まっただ中。衝撃を受けた米国は翌年に、衛星打ち上げを成功させ、米航空宇宙局(NASA)を設立、熾烈(しれつ)な宇宙開発競争が始まった

 ▼ソ連から13年遅れ、日本も打ち上げに成功する。それまで何度も失敗を重ね、「無駄遣い」などと批判される中、5度目の挑戦で衛星が地球を1周した。ただ開発に携わった、秋葉鐐二郎(りょうじろう)さんは「失敗だった」と振り返る

 ▼実は衛星は地球を数周し、地上に電波を送信する計画だった。しかし搭載した電源容量が急激に低下し、送信が途絶えた。「成功に至る4度の失敗は全て成功とも言えるし、成功自体が失敗と言える」と秋葉さん。失敗と成功を繰り返し、科学技術は日々成長している

 ▼いわき市の旧永井中を拠点に中学、高校生が人工衛星の開発に取り組んでいる。科学分野の人材育成に取り組む団体が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で進めるプロジェクトだ

 ▼衛星は来春打ち上げられ、宇宙からレ ーザーを照射し地上までの距離を正確に測ることを目指す。かつて国家の威信をかけた宇宙開発に、10代の若者が携われる時代。失敗を恐れることなく挑んでほしい。

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