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財政負担重く...努力義務の家庭プラごみ「分別回収」30市町村で導入未定

10/06 07:40

 2022年施行のプラスチック資源循環促進法により自治体の努力義務とされた家庭プラスチックごみの分別回収について、一部でも実施しているのは県内59市町村のうち13市町村にとどまり、半数以上に当たる30市町村は導入時期が未定であることが福島民友新聞社のアンケートで分かった。多くの自治体が財政負担の重さを理由に挙げた。本県は資源化や再生利用された割合を示すリサイクル率が12.8%と全国2番目に低く、入り口部分の課題が浮き彫りになった。

 同法は、海洋プラスチックごみや気候変動などの問題を受け資源循環を促すため、22年4月に施行された。食品トレーなどのプラ容器の分別回収は容器包装リサイクル法に基づき進められてきたが、新法はスプーンやストロー、ハンガーなど容器以外の幅広いプラ製品も対象とした。

 アンケートは8月上旬に対面と書面で実施した。法施行から2年以上経過する中、分別回収を導入した自治体は13市町村。このうち8市町村は既存施設で対応できるストローなどの軟らかいプラ製品に限って実施していた。未実施の46市町村のうち、導入時期を明示したのは16市町村にとどまった。分別回収していない自治体の多くは、プラ製品を不燃ごみと一緒に回収しているとみられる。

 11年に分別回収を導入したいわき市は、22年のリサイクル率が22.7%と県平均を約10ポイント上回る。担当者は「分別による市民の負担は生じるが、リサイクル率の向上には良い効果をもたらしている」と話す。

 一方、未導入の自治体は「リサイクル業者が近くにおらず、遠方に依頼すると費用がかさむ」(福島市)、「施設改修や新たな人員確保などの課題があり、新たな財政負担が生じる」(小野町)などと回答を寄せた。回収やリサイクルに伴う費用は自治体の負担になるため、検討が進まない実情があるようだ。

 本県のリサイクル率は22年度までの直近10年間にわたり、12~13%台で推移。22年度の全国平均19.6%と比べて差が大きく、26年度目標に掲げる「16%以上」に達する兆しは見えない。

 県一般廃棄物課の担当者は「プラスチックは多様な製品に使われており、相当な量がリサイクルに回せる可能性がある」と説明。中長期的な地球温暖化抑制の意義や先進自治体の優良事例などを伝えつつ、県全域への浸透を図るとした。

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