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榊枝(学石)、国スポでも優勝 自転車スプリント「高校3冠」達成

10/10 07:50

【自転車少年男子Bスプリント】右手の人さし指を掲げて勝利の喜びを爆発させた榊枝=武雄競輪場

 第78回国民スポーツ大会(国スポ)第5日は9日、佐賀、兵庫両県で各競技が行われ、県勢は自転車少年男子Bスプリントで榊枝天旺(てお)(学法石川高3年)が優勝した。榊枝は3月の全国高校選抜、夏の全国高校総体(インターハイ)と合わせて「高校3冠」に輝いた。

 ウエイトリフティング少年男子89キロ級では、門馬悠太朗(福島工高3年)が3位に入った。馬術成年男子トップスコアの秋葉大地(桑折町ホースパーク、日大東北高卒)は1310点で7位だった。ボウリング成年女子の林香織(プライメット)は1305点で8位以上の入賞を確定させ、10日に行われる決勝に進出した。

 榊枝、国体制覇の父を力に

 コンマ数秒の世界を競うレースを制すと、右手人さし指を掲げてすり鉢状のバンクに響く歓声を一身に浴びた。9日に佐賀県で行われた国民スポーツ大会(国スポ)の自転車少年男子Bスプリント決勝で、榊枝天旺(てお)(学法石川高3年)は予選から他の追随を許さない会心の走りで頂点に立った。「高校でかなえたい夢を達成できた」と全国高校選抜、全国高校総体(インターハイ)と合わせた「高校3冠」の喜びをかみしめた。

 相手との駆け引きに加え、見えない痛みとの戦いでもあった。前日のレースで相手選手の転倒に巻き込まれる形で落車し、左膝と腰を痛めた。決勝当日の朝には首の痛みも加わっていた。レース前の心境を「正直、敗退の不安もあった」と吐露した。

 くじけかけた心の支えになったのは両親の存在だ。「きょうのレースは高校3年間の集大成だ」。決勝当日、父輝文さんからかけられた言葉が胸に響く。くしくも輝文さんは同じ学法石川高3年だった1994年、愛知県で行われた国民体育大会(国体)の自転車競技に出場し、1000メートルタイムトライアルで優勝した過去がある。

 あれから30年の時を経て、榊枝も父と同じ決勝の舞台に立っていた。「母親も毎日の食事や家事で支えてくれている」。愛情あふれる家族からの支えを力に「恩返しの思い」で臨んだレースは最終盤で相手を振り切って栄冠を勝ち取った。

 榊枝にとって、国スポで父親と同じ景色を見ることは目標の一つだった。小学生の頃から起伏に富んだ路面を走るなど自転車への愛着は深い。高校卒業後は競輪選手になることが目標で「いずれは五輪にも出場したい」。世界を目指す18歳は、新しい夢に挑み続ける。(小野原裕一)

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