政府が公表したSNS型投資詐欺対策では、著名人の写真などを無断で悪用した偽広告の根絶を図るため、SNS事業者に広告の事前審査の強化などを求めた。投資家や著名人の名を借りた偽広告が詐欺被害の入り口となっているためだが、強制力はなく、実効性を伴っているのかどうか疑わしい。自身も偽広告に悪用されたジャーナリスト池上彰さんは「対策は遅きに失した上に、生ぬるい」と批判し、法整備の必要性を訴える。
池上さんは昨年秋ごろ、知人からの連絡でSNSにあった自身の広告を知った。勝手に写真が使われ、資産倍増の手伝いをする、との内容だったという。知人が事業者に削除を要請したが、広告は削除されないどころか、事業者からは「問題はない」との返事が来たという。
池上さんに成り済ましたSNSを信じた京都府の高齢女性は計約2億3千万円をだまし取られた。池上さんは「被害に遭われた方がいることは、本当に心が痛む」と悲しむ。「偽広告を掲載して広告料を受け取ることは、結果的に共犯のような形になっている」と対応を取らないSNS事業者を非難した。