東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の教訓を後世に伝える、いわき市のメモリアル施設「いわき震災伝承みらい館」が30日、同市薄磯に開館した。
未曽有の複合災害を振り返り、災害に対する危機意識や防災意識を育むことを目的に市が整備した。鉄骨造り2階建てで、1階には展示室と多目的学習室、2階は薄磯海岸を見渡せる展望デッキを設置した。
館内には、津波の映像などが流れる巨大モニターをはじめ、避難所生活に関するクイズや震災前後の街並みの変化を学ぶことができるタッチパネルを設置している。
また、津波被害を受けた旧豊間中の寄せ書き入りの黒板や机などを展示。語り部の講話も実施する。
同日は、来場者へのマスク着用や検温、入場制限などの新型コロナウイルス感染症対策を行った上で開館した。市民ら約100人が来場し、震災が及ぼした影響や復興の歩みについて知識を深めていた。
開館を前に、落成式が行われた。清水敏男市長が式辞を述べ、関係者らがテープカットした。薄磯地区の鈴木幸長区長(67)は「震災から10年目になり、震災があったかどうか知らない人もいるだろう。自然災害の恐ろしさを勉強してほしい」と話した。
入館料は無料。開館時間は午前9時~午後5時。休館日は月曜日、年末年始。問い合わせは同館(電話0246・38・4894)へ。