東京電力は6日、福島第2原発の廃炉作業のうち、第1段階(解体工事準備期間)の除染作業を開始した。三嶋隆樹所長は同日、作業を視察した報道陣の取材に応じ、第2原発の廃炉工程について「(廃止措置計画に示した完了までの期間の)44年にこだわらず、福島第1原発の状況を踏まえながら、短縮すべきところはしっかり短縮していきたい」との考えを示した。
この日は1号機原子炉建屋内の制御棒を出し入れする設備(CRD)をメンテナンス(補修)する部屋で、作業員たちが高圧洗浄機を使って作業。CRDの補修に使用する分解装置の排水ラインを除染した。
1号機の部屋の空間線量は毎時0.1ミリシーベルト程度。CRDは原子炉内の水に触れるため放射性物質が付着しており、補修室内も汚染されている。分解装置は長さ10メートル、幅0.6メートル、高さ1.25メートル程度で、表面線量は毎時4.0~0.3ミリシーベルトとなっている。除染作業は12人による2班体制で進める。
東電によると、第2原発は2~4号機にも同様の部屋があり、順次除染する。
第2原発の廃炉工程は4段階に分かれている。第1段階は10年かかり、第2段階(12年)で発電機タービンなど周辺設備、第3段階(11年)で原子炉本体など、第4段階(11年)では原子炉建屋などを撤去する。三嶋所長は1~4号機が同じ型のプラントを採用しているとし「1号機で培った技術はそのまま作業に展開できる」と述べた。
果てしなさ、改めて実感
福島第2原発で進む廃炉作業のうち、1号機建屋内の除染作業に着手した東京電力は6日、原子炉建屋内部の様子を報道関係者向けに公開。廃止措置計画で44年かかるとされる、廃炉作業の現場を取材した。
ゲートでのチェックを経て1号機原子炉建屋に入ると、空調設備などによるごう音が、むき出しのコンクリート空間に響く。案内役の東電社員との会話も声を張り上げないと成り立たないほどだった。
この日の作業は、原子炉格納容器に制御棒を出し入れする装置のメンテナンスを行う部屋の除染。作業員5人がビニール製の防護服を着込み作業に当たっていた。
建屋内は、普段着にヘルメットと手袋のみの記者でも汗ばむほどの暑さ。防護服に全面マスク姿の作業員が感じる温度は、実際よりも12度ほど高くなるといい、熱中症対策が求められる。東電から貸し出された線量計は約1時間半の取材終了後も「0」を示したままだった。
この日除染した範囲は広大な第2原発のほんの一角に過ぎず、廃炉工程の果てしなさを改めて実感した。新潟県の柏崎刈羽原発に続き、ここ福島第2原発でも核物質防護の不備が判明している。長い道のりの中での廃炉は地域、県民の理解と信頼を得ながら進める必要がある。
取材に応じた三嶋隆樹所長は相次ぐ不祥事に「気付く力が不足していた」と社内体質改善の必要性を強調した。東電には県民、国民と誠実に向き合い、その一挙手一投足に責任を持った廃炉作業が求められる。(報道部・鹿岡将司)