東京電力福島第1原発の処理水海洋放出方針を巡り、県漁連は18日、相馬市の相馬双葉漁協で、政府や東電の担当者を招いた意見交換会を開いた。政府が夏ごろまでとする放出開始の目標時期が迫るが参加した漁業者には風評への懸念が根強く、風評被害が発生した場合に実態に即した賠償が実施されるのかと問う声も出た。
意見交換会には、同漁協の組合員ら約130人が参加。経済産業省の松永明参与や東電の新妻常正フェローらが出席し、放出に向けた準備状況や風評対策などを説明した。
参加者によると、非公開で行われた意見交換では「処理水が安全だといっても、伝わらない。事故直後のような風評を二度と経験したくない」との訴えがあったほか、漁協の女性部員からは、風評被害による家計への影響を心配する意見が出た。風評対策と漁業継続を目的に政府が創設した二つの基金について、具体的な支援策を尋ねる声もあったという。出席した40代の男性漁業者は「復興に向けて取り組んできたこれまでの努力が無駄になるようなことだけはしてほしくない」と語った。
意見交換会後、取材に応じた野崎哲県漁連会長は「海洋放出については反対という立ち位置だ。われわれの不安を直接伝え、現状と同じように操業を続けられる環境をつくりたい」と話した。意見交換会は25日にいわき市でも開かれる。