東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出を巡り、国際原子力機関(IAEA)の調査団は2日、放出計画への評価を盛り込む包括報告書の取りまとめに向けた最後の検証作業を終えた。包括報告書は月内にも公表される予定で、IAEAの最終的な結論として放出計画の安全性に支持を得られるかどうかが焦点となる。
政府は夏ごろを目指す放出開始に向け、国際的な第三者機関のIAEAの検証により放出計画の信頼性や透明性を担保したい考え。経済産業省は「包括報告書の内容を分かりやすく発信していく」とし、包括報告書が国内外の理解促進に向けた一つの鍵になるとみている。
調査団はIAEAの職員8人と、中国や韓国を含む9カ国の専門家9人の計17人で構成し、5月29日から2日までの5日間の日程で来日。経済産業省と原子力規制委員会、東電、外務省の関係者らと放出計画について協議したほか、福島第1原発で放出関連設備の整備状況などを確認した。
IAEAは日本政府の依頼を受け、これまで複数回にわたり調査団を派遣し、処理水の試料を分析するなど検証作業を重ねてきた。既に東電の放射性物質測定の正確性や原子力規制委員会による審査の妥当性などについて一定の評価を示している。