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【ふくしま乗り物語】サンシャインシーガル 島民の足、観光の顔に

05/27 13:25

小名浜港の観光遊覧船「サンシャインシーガル」=いわき市(矢内靖史撮影)【撮影情報】カメラ・ニコンD5、レンズ・ニコン200―500ミリ、絞り値・f/9、シャッター速度・1/1600秒、ISO・400
船上では海鳥との触れ合いも魅力の一つ

 変化に富んだ小名浜港の景色の中を白い船がゆっくりと進んでいく。小名浜デイクルーズ(いわき市)が運営する観光遊覧船「サンシャインシーガル」。港を巡る約50分間のクルージングは見どころがいっぱい。時間があっという間に過ぎていく。


 船は全長約23.8メートル、全幅6.0メートル、総トン数77トン。旅客定員は150人。2階建てで、豪華なテーブルと椅子のある客室のほか広々としたデッキを備える。船は元々、宮城県気仙沼市の市街地にある船着き場と大島(気仙沼大島)を結ぶ定期船として使われていたという。島民の足としての役割を終え、2021年から、小名浜で観光客を乗せている。平日は1日3回、土、日曜日と祝日は4回運航する。


 クルージングでは、ガラスで覆われたアクアマリンふくしまの特徴的な外観を見送りながら岸壁を離れる。10ノットで進み、まず見えてくるのは小名浜マリンブリッジ。整備が進む東港地区と3号ふ頭を結ぶ全長927メートルの橋で、17年に完成した。真下から眺めると迫力に圧倒される。


 橋の下をくぐろうとすると、数羽のウミネコが近づいてきた。乗客が菓子を投げると、くちばしで上手にキャッチ。「慣れたものだ。餌をもらいにくるのは、いつも同じ鳥なんだろう」。船長の花坂徳恵(のりえ)さん(69)は笑いながら話す。


 花坂さんは小名浜港で働き始めて50年になる。サンマ漁船や、港内で大型船を引くタグボート乗りを経て、観光遊覧船の船長に就いた。「昔はふ頭の岸壁で釣りをしている人も多かったよ」。岸壁が近づくと、安全確保を目的とした国際条約「SOLAS(ソーラス)条約」により立ち入りが禁止された、ふ頭を眺めながらつぶやいた。


 ことしの大型連休には定員に近い140人を乗せたこともあった。日々変化を続ける小名浜港の観光の目玉の一つとして、これからも多くの人に愛されていくだろう。(須田絢一)


 サンシャインシーガル 約50分間の小名浜港クルージングを行う観光遊覧船。料金は大人が平日1650円、土、日曜日と祝日が1800円など。いわき・ら・ら・ミュウ1階に窓口がある。運航の問い合わせは、運営する小名浜デイクルーズ(電話0246・38・4197)へ。


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