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【ふくしま乗り物語】ハイカラさん 心ときめく周遊バス

06/24 13:05

ボンネットタイプのワインレッドカラーのボディーが目を引く、まちなか周遊バス「ハイカラさん」=会津若松市(石井裕貴撮影) 【撮影情報】カメラ・ニコンZ9、レンズ・ニコン24―120ミリ、絞り値・f/16、シャッター速度・1/400秒、ISO・500
伝統工芸品「会津木綿」を使用したシートを採用、会津の文化と伝統を体感できる

 歴史の町・会津若松市の名所旧跡をレトロなボンネットバスがつなぐ。会津乗合自動車(会津バス)が運行するまちなか周遊バス「ハイカラさん」。車両前部が突き出た独特の形は、乗った瞬間から旅気分を盛り上げてくれる。


 誕生は2001年7月。1999年4月に同市と新潟県を結ぶJR磐越西線SLばんえつ物語号の運行が始まり、SL利用者の市内の交通手段としてシャトルバスが運行されるようになった。観光客が増える中、新たな観光戦略として市や会津バスなどでつくる、まちなか周遊バス運行事業実行委員会が企画したのがハイカラさんだ。


 初代ハイカラさんは、車体の色が緑の1台。観光地をつないで市街地を反時計回りに循環した。その後、増車や時計回りでの運行、会津バスへの運行事業完全移管、車両更新など変化を続け、現在はロイヤルブルーとワインレッドの2台が反時計回りに走り、時計回りは電気自動車の「あかべぇ」が担う。いずれもJR会津若松駅を発着地に、大正ロマンの風合いが人気の七日町や鶴ケ城、国指定名勝・会津松平氏庭園「御薬園」、東山温泉、飯盛山などを巡る。


 ハイカラさんの独特の形は市販のマイクロバスを改造したものだ。「アルミ削り出し」のボンネット部分もさることながら、内装にもこだわりがある。降車ボタンに赤べこが、運賃箱には起き上がり小法師(こぼし)がデザインされている。何よりも会津木綿を使ったシートが目を引く。


 ハイカラさん目当ての観光客もいるといい、多い日には1日で千人を運ぶことも。小学生の頃からハイカラさんを見てきた会津バス輸送管理課の穴沢信之助さん(31)は「観光の町のシンボルとして定着しているのはありがたい」と口にする。


 「また会津に来よう」。初めて見たそのときから乗客の心をつかむハイカラさんは、観光客を何度でも会津に呼び戻し、循環の輪を広げる。(阿部裕樹)


 ハイカラさん 1日22便(あかべぇは18便)運行し、運賃は大人(中学生以上)210円、子ども(6~12歳)110円。1日フリー乗車券は大人600円、子ども300円。繁忙期や車両の修理時は、通常の中型車両も走っている。


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