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運動着の色みんな一緒…福島県内学校 ジェンダー平等で服装変化

07/18 07:45

男女で異なる色の運動着を着る3年生(手前)と、男女ともに紺色の運動着の1、2年生=南相馬市・原町一中

 男女で運動着の色が異なっていた福島県内の学校で、運動着の色を統一する動きが加速している。LGBTなど性的少数者への配慮などを念頭に、全ての子どもにとって過ごしやすい環境づくりが各校で進んでおり、運動着メーカーの担当者も「ここ数年、ジェンダーを理由に統一が一気に進んだ」と話す。ジェンダー平等の観点から多様性を認め合う環境整備が進む中、児童生徒の服装にも変化が起きている。

 南相馬市の原町一中は昨年度の新入生から、男女で異なっていた運動着の色を紺色に統一した。それまでは男子が青、女子が赤色だった。堀内浩明教頭(51)は「子どもたちの意見を尊重し、(色が異なることにより)嫌な思いをする生徒を減らすことにつながればと思う」と話す。

 文部科学省からの性同一性障害などに対する配慮を求める通知に加え、生徒からの意見も踏まえての判断だった。運動着を統一する前には、女子生徒の制服にスラックスを導入することも決まった。

 生徒からは色の統一について好意的に捉える意見が目立つ。橋本宗佑さん(2年)は「ジェンダー平等が服から表せており、とてもいい試みだと思う」とし、小林大翔さん(2年)は「同じ色なので平等。男女仲良く親近感が生まれたかも」と印象を口にした。

 堀内教頭によると、運動着の色を統一することで、性別の特定が以前よりも難しくなり、犯罪に巻き込まれるリスクが下がるなどの効果も期待できるという。

 運動着のデザインは、学校ごとの判断だ。南相馬市内にある中学校6校のうち、現在も男女で色が異なる運動着を使用するのは2校。2校は、状況によっては統一も検討していく考えだ。

 県内をはじめ、東北地方や近県にある約千校で使用する運動着などを製造している福島市のメーカー「クラロン」の担当者は「昔は男女別の運動着が結構あった」と話す。20年ほど前から「きょうだい間で融通をしたい」などの声が広まり、男女で統一する動きは徐々に進んできたという。

 ここ数年、ジェンダー平等の考えが社会に浸透した事に伴い、運動着の統一に拍車がかかった。担当者は男女別の運動着が残っている地域について「今では少なくなった」と話す。ただ、統合が視野に入る小規模校では運動着の変更が、家庭の負担増加につながる可能性などもあることから、運動着の統一について「事情は学校によりさまざまだ」とも話した。(佐藤健太)


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