• X
  • facebook
  • line

福島県の最低賃金955円に 過去最大55円引き上げ

08/10 08:10

 福島地方最低賃金審議会は9日、本県の最低賃金を時給955円とし、現行から55円(6.1%)引き上げるよう福島労働局に答申した。県内の引き上げ額は昨年の42円を上回り過去最大で、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が示した引き上げ目安額の50円に5円を上乗せした。労働局は10月5日の発効に向けて手続きを進める。

 福島市で開かれた会合で答申をまとめた。県最低賃金と引き上げ額の推移は【グラフ】の通り。引き上げ額が目安額を上回るのは2年連続となった。県内は隣接する宮城県や関東圏の自治体などに比べて最低賃金が安い水準にあり、働き手の県外流出につながっている。また物価高騰の影響も大きいとして、目安額を上回る引き上げが必要と判断した。

 ただ、答申案に対する採決結果は8対4で経営者側の委員からは引き上げへの反対意見があった。長引く物価の高騰は中小企業の経営を圧迫しており、賃金上昇の影響は決して小さくないためだ。このため答申では国、県に対し、中小企業が賃上げを実現できるよう、設備投資や人材育成に対する補助など支援策の強化を求めることも盛り込んだ。

 厚生労働省によると、現在の最低賃金の全国平均は1004円で、900円の本県は平均を大きく下回る状況にある。東北ではトップの宮城県(923円)に次いで山形県と並ぶが、近隣の栃木県(954円)、茨城県(953円)、新潟県(931円)などとは大きな開きがある。審議会の熊沢透会長は、県内の最低賃金が目安額を上回る引き上げで決着したことについて「南東北、北関東の近隣県との格差是正に加え、物価上昇の中で労働者の生活を守る意味があり、一定の成果があった」と語った。

 最低賃金は毎年度、中央審議会が示した目安額を参考に、各都道府県の地方審議会が実際の改定額を決める。非正規を含む全ての働く人が対象になる。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line