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車いすラグビー、日本が初の「金」 22歳橋本勝也、最多19点

09/04 08:05

橋本勝也

 パリ・パラリンピック第6日の2日(日本時間3日未明)、車いすラグビーは橋本勝也(22)=日興アセットマネジメント、福島県三春町出身=を擁する世界ランキング3位の日本が決勝で同2位の米国を48―41で破り、初の金メダルを獲得した

 初の銅メダルに輝いた2016年リオデジャネイロ大会から8年。「金」を目標に掲げてきた車いすラグビーの日本が、悲願を果たした。銅メダルだった21年東京大会に続き、チーム最年少で出場した橋本は決勝で両チーム最多の19得点を挙げた。勝利を告げるブザーが鳴ると、真っ先にベンチにいたメンバー全員とハイタッチし、抱き合った。

 序盤は追いかける苦しい展開で、3点のビハインドで第2ピリオドに突入した。嫌な流れが立ち込める中、振り払ったのは橋本だった。

 22―22で迎えた残り1分余り。敵陣で相手がパスをしようとしたところでタックルを食らわせ、ミスを誘ってパスカット。そのままトライを決め、前半を24―23でリードを奪って折り返し、空気を変えた。初の金メダルが懸かった大一番で勝利を手繰り寄せた若武者は「キープレーヤーになりたかった。少しは貢献できたかな」と胸を張った。

 長年チームをけん引してきた主将の池透暢(ゆきのぶ)(44)、池崎大輔(46)のベテラン二枚看板に、「次世代のエース候補」とされていた橋本が融合した大会だった。結果的に橋本は全5試合でチーム最多の79得点を記録した。

 「パリで代表の世代交代をできるぐらい、『勝也に任せたぞ』と言ってもらえるぐらいの結果を残したい」。大会前に語っていた言葉通り“新エース”にふさわしい活躍で悲願を果たした。

 夏季パラ県勢60年ぶり

 県勢の夏季パラリンピックでの金メダルは、1964年東京大会の卓球ダブルスの渡部藤男、猪狩靖典組(福島労災病院)以来、60年ぶり。このほか、夏季では2000年シドニー大会で視覚障害のある選手と2人一組で走る自転車男子タンデムで、ハンドルさばきを担う晴眼者のパイロットを担った水沢耕一さん(当時あさか開成高教)が金メダルを獲得。冬季では、14年ソチ大会で鈴木猛史さん(猪苗代町出身)がアルペンスキー男子回転座位で金メダルに輝いた。

     ◇

 橋本勝也(はしもと・かつや) 田村高卒。東北ストーマーズ所属。先天性の四肢欠損により左右の手指は2本で、両脚は3歳で切断している。2021年東京大会にはチーム最年少で代表入りし、銅メダル獲得に貢献。22年3月に当時勤めていた三春町役場を退職し、アスリート雇用の企業に転職し、力を磨いてきた。

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