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佐々木真菜、亡き恩師胸に...3年間の集大成 パラ女子400で7位

09/08 07:10

 確かな成長の跡を見せたレースだった。パリ・パラリンピックの陸上女子400メートル(視覚障害T13)で7位入賞を果たした佐々木真菜(27)=東邦銀行、福島市。順位は東京大会と変わらず7位となったが、亡き恩師の教えを胸に、世界と戦うためコーチ陣と3年かけて磨いたフォームで、パリのトラックをさっそうと駆け抜けた。

 2度目の大舞台。リラックスしたスタートから加速力を発揮した。自己ベストで上をいく選手たちに食らい付くと、最後は持ち味の粘りを見せた。予選は全体8位通過だったが、順位を一つ上げ、7位でフィニッシュ。無観客だった東京大会とは違い、有観客による声援も感じ「地面が揺れるような歓声の中で走れて幸せ」と気持ちが高ぶった。

 初出場となった東京大会で感じたのは、世界との実力差だったという。後半の粘り強さが持ち味の佐々木だが「世界では前半から攻めないと勝負にならないところがある」と痛感。世界選手権など国際大会で戦った東邦銀行陸上競技部の吉田真希子監督(48)や天下谷真弓コーチ(41)と一緒に、スタートからの加速力を3年間で強化してきた。

 レースを終え「しっかり地に足を着けて、勝負をしに来られたことが一番の成長だと感じた」と吉田監督。「課題としていた前半の加速や腕振りはできていた」とねぎらった。

 パリでは亡き恩師の言葉も励みになった。「バックストレートは猿のように軽やかに」「ラスト100メートルは熊に追いかけられる気持ちで走れ」ー。2022年5月に亡くなるまで指導を受けていた前監督で、多くの名選手を育てた川本和久さん=享年(64)=に東京大会前にかけてもらった言葉だ。

 「(東京大会で)まだまだ行けるぞ、と言ってくださったから、今回の決勝にもつながった」。佐々木は川本さんの言葉を胸に刻み、今季ベストの58秒35を記録した。

 一方、目標だった表彰台や57秒50の自己ベスト更新には届かなかったことには、悔しさも残った。レースで世界記録が出たことにも刺激を受け「また強くなってメダルを取りたい。このままでは終わりたくない」。そう言葉を残し、さらなる高みへの思いも募らせた。(佐藤智哉)

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