国見・救急車事業問題「町長は辞職を」 町議、責任厳しく迫る

10/16 08:30

給与減額に関する条例改正案を反対多数で否決した国見町議会=15日午前
記者会見で謝罪する引地町長

 「町長は辞職して職務の責任を果たすべきだ」。国見町の高規格救急車事業の一連の問題を巡り、町議は15日の臨時会で、引地真町長らの給与を減額する条例改正案を提出した引地町長に対し、辞職を迫った。

 「『瑕疵(かし)はなかった』としていた町の考え方を改め、結果の責任を果たすため、給与の減額について議決を求める」。提案理由で引地町長は、事務手続きの瑕疵を認め、謝罪した。議案に対する質疑では、議長を除く出席した9議員のうち、6議員が厳しく指摘した。「1カ月分の減給処分ではなく、もっと重い責任の取り方があったのではないか」。松浦常雄議員の質問に引地町長は「辞めるのも一つの選択肢だが、任期中に対策を構築したい」と辞職を否定した。

 また、町長選の告示まで1カ月を切った中での減給案に、複数の町議からは在任期間で何ができるのかという質問も出た。引地町長は「(町の事務手続きに関して)策定されている要項を、職員に厳格に守るよう意識付けをしていく」と答え、「任期は少ないが、選挙のための取り組みという本意はない」と理解を求めた。

 町長謝罪「任期全うしたい」

 記者会見した引地町長は「町民に心配をかけ、不信を招いたことを心からおわび申し上げる」と謝罪し、町の業務の進め方について「規則が有名無実化していた」と反省を口にした。

 ―条例案が否決された。

 「残念に思う。辞職せずに任期を全うし、問題に対するさまざまな対策を練り上げる。(再選に向けた出馬も)意思に変わりはない」

 ―町の対応で一番の問題は何だったと考えるか。

 「政策決定までのルールを策定しているにも関わらず、その通りに業務を進めなかったこと。規則が有名無実化していた。二度とこういうことが起きない対応策を仕上げていく」

 ―高規格救急車事業について今、どう考えるか。企業版ふるさと納税が悪用されたという指摘もある。

 「事業そのものは、町民福祉の向上になり得ると思う。納税制度についてコメントする立場にないが、行政が一緒にやろうとする相手によっては、今回のようなことが発生するということが分かってしまった。町は当事者だが、彼ら(事業者)の考えに巻き込まれたのではという思いもある」

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