燃料溶け圧力容器に落下

10/19 12:12

 原子力発電所は、ウランなどの放射性物質を燃料に使い、その核分裂により発生する熱で電気を作る設備です。前回はこの設備の中で重要な「圧力容器」と「格納容器」について説明しました。圧力容器は原子炉の中心にあり、核分裂反応が行われる場所です。そして、格納容器は燃料が入っている圧力容器とその周りの設備全体を覆っているものでした。
 メルトダウンという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。メルトダウンとは、圧力容器の中にある核燃料を冷やすことができず、核燃料自身や、その周りが溶けて(メルト=英語で「溶ける」の意)お互いに混ざり、溶けた物質が圧力容器の下部に落下(ダウン)することを指します。メルトダウンは、何かの爆発を指す言葉ではありません。
 そして、状況によっては、この核燃料が溶けたものが、圧力容器の底を溶かして穴を開けて突き破り、外側の格納容器の中まで落下します。これをメルトスルー(スルー=英語で「通り抜ける」の意)と言います。このメルトスルーも、もちろん緊急事態ですが、何かの爆発を指すわけではありません。
 ちなみに、チャイナシンドロームという言葉を耳にされたことがある方もおられるかもしれませんが、これは、このメルトダウンやメルトスルーを誇張して表現した言葉です。熱い核燃料が周りを溶かして下に落ちていく中で、地面を溶かして落ち続ければ、地殻を突き抜け、地球の反対側まで到達するのではないかという「想像」です。アメリカで事故が起こった場合、地球の反対側に中国があるため、このような言葉が作られています。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line