東北大や福島大などの研究グループは25日、滋賀県の琵琶湖から遡上(そじょう)する多様な回遊魚の「おしっこ(尿や粘液)」が川底にすむ生物の栄養源になっていることを突き止めたと発表した。
研究には福島大から食農学類生産環境学コースの福島慶太郎准教授が参加。琵琶湖に注ぐ川で、ウグイやアユなど回遊魚の遡上の実態や水中のアンモニウムイオンなどの物質、藻類の状況などを分析した。
その結果、回遊魚から排出される尿や粘液が、川にリンや窒素などを供給することで、藻類の成長を促し、川底にすむ生物の栄養源になっていることが明らかになった。多様な魚種が季節を追って順に遡上することで年間8カ月もの間、その効果が持続することも分かった。
研究グループはこの成果に関し「生態系のつながりの重要性を示すとともに、その間を回遊する動物の存在と多様性が、生態系全体に波及効果を持つことを世界に先駆けて示した」としている。研究成果は25日付で科学誌に掲載された。