福島県は30日、再編・見直しの検討を進めてきた県内広域路線バスについて県北と県中・県南地域の再編・見直し案を示した。全29路線(地域間幹線系統)のうち4路線を既存路線や新設の路線として統合・再編し、広域路線への引き上げを含め3路線を新設。そのほかの9路線でも運行経路などの見直しを行い、利用者の利便性向上につなげる。2025年10月からの運用開始を目指す。
福島市で開いた県地域公共交通活性化協議会で示した県地域公共交通利便性増進実施計画の素案に盛り込んだ。統合・再編となる路線のうち月の輪経由保原線(福島市、伊達市)と船引線(郡山市、田村市)は既存の別の路線に統合、矢田野経由長沼線、横田経由長沼線(須賀川市)は新設の路線として再編する。各路線の利用状況や今後の需要予測などを踏まえて決定した。路線の新設もあるため総数に変更はない。
県北、県中・県南の29路線のうち18路線は、乗客数などから算出する輸送量が国の補助要件(1日15人以上)を満たしておらず、東日本大震災の被災地に適用される激変緩和措置が終了すれば補助が打ち切られる恐れがあった。再編・見直しを盛り込んだ利便性増進実施計画を策定することで補助要件は1日3人に緩和されるため、県北、県中・県南では補助要件を満たさない路線は7にまで減る見通しだ。
計画の実施期間は31年3月までで、県は今後、沿線自治体や事業者などと連携して県民の利用促進に取り組みを積極的に進める方針。要件を満たしていない7路線のほか、県北、県中・県南以外の路線については26年度以降に再編・見直しの検討を進める。
また協議会では、只見線や会津鉄道で国の交付金を受けられる「鉄道事業再構築事業」の実施計画について、早ければ年内にも策定したい考えを示した。