天体観測、達人が案内 津村光則著「星雲・星団・銀河ビジュアル図鑑」

11/02 14:30

誠文堂新光社 3960円

 これから迎える冬の夜空は、明るい星々でにぎわう。その中の一つ、おうし座にある「M45散開星団」は「すばる」の名で知られる。平安時代、清少納言は最も美しいとたたえた。

 天体望遠鏡を使えばさらに美しく見えそうだが、本書によると星がまばらになり、興ざめするらしい。双眼鏡なら星々が生き生きして格別という。掲載された写真の中のすばるは、確かに息をのむほどの輝きを放つ。

 天文家の著者が選んだ「星空名所百」を中心に、目当ての天体を観測するのに適した機材、星団や星雲の見つけ方などが紹介されている。観測用星図と数々の写真とともに、観望を豊かにする知識が盛り込まれており、初心者にもお勧めの一冊。

 著者は高校生の頃、郡山市の天文写真家、故藤井旭さんのガイドブックを参考に、自作望遠鏡で天体を見ていたという。図鑑の所々から、星空を愛する人たちの思いが伝わってくる。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line