2022年から23年にかけた大流行を上回るペースで感染が拡大している。養鶏場などにウイルスを侵入させない取り組みを徹底させることが重要だ。
国内各地で鳥インフルエンザが猛威を振るい始めている。10月上旬、北海道で回収された野生のハヤブサの死骸から、今季初めて感染力や致死率の高い「高病原性」のウイルスが検出されると、同17日には北海道の養鶏場からも確認された。農林水産省によると、家禽施設での検出はこれまでで最も早い時期となった。
県内では同18日、会津若松市の住宅地で死んでいた野生のコガモから高病原性ウイルスが検出された。本州で一番早い確認だった。
国内では例年、秋に北方からのガン類やハクチョウ類などの冬鳥の飛来とともに流行が始まる傾向にある。しかし今季は飛来がピークを迎える前に確認されたため、国は警戒を呼びかけている。
野鳥の排せつ物などからウイルスが広がるとされる。冬鳥の飛来地などを訪れた際は、ふんが靴の裏や車に付かないように注意する必要がある。外傷などのない多数の野鳥の死骸を見つけた場合は、決して素手で触れたりせず、すぐ自治体などに連絡してほしい。
最も警戒しなければならないのは養鶏場などの施設へのウイルスの侵入だ。2年前の大流行では26道県で84例が確認され、計約1771万羽が殺処分対象となった。県内の養鶏場でも初めて発生し、11万羽以上が処分された。
今季もすでに隣県の宮城県石巻市、新潟県胎内市の養鶏場で感染が確認されている。ウイルスを持つ野鳥だけでなく、ネズミなどの小動物の施設内への侵入を防ぐことが最も重要になる。養鶏業者は施設に出入りする車や人の消毒など、基本的な対策を徹底することが求められる。
施設内でウイルスが検出されれば当該業者だけでなく、周辺の農場で飼育している鶏なども移動が制限され、業者は深刻な打撃を受けてしまう。国や県は、業者の防疫措置のための資機材の導入などを積極的に支援し、未然防止に万全を期してほしい。
2年前は各地の養鶏場で殺処分が行われた影響で鶏肉や卵の品不足、価格高騰などが起きた一方、人への感染を警戒したことで買い控えなどの影響も生じた。
農水省によると、国内ではこれまで人が肉や卵を食べて感染した例はない。国や自治体は消費者が冷静に対応し、風評被害などを招かぬよう、正確な情報の発信に努めてもらいたい。