【11月13日付社説】公務員の不祥事/県民に尽くす立場忘れるな

11/13 08:15

 法令順守は当然ながら、より高い倫理観を持って職責を全うすべき県職員や教職員らによる不祥事が後を絶たない。公務員の質の低下が疑われる。

 県山口土木事務所の職員が、会津若松市の商業施設で女性のスカート内にスマートフォンを差し向けたとして、県迷惑行為等防止条例違反の疑いで逮捕された。土木部の出先機関の責任者を集めた会議で、法令順守意識の徹底を確認したばかりだった。

 子どもたちを教え、導く立場の教職員からも逮捕者が出た。ふたば未来学園中の教諭は、相馬市の住宅敷地に侵入し、入浴中の女性を撮影しようとしたとして、住居侵入と性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで逮捕、同罪で起訴された。

 事実だとすれば、県民に尽くす立場を著しく逸脱し、被害者を傷つける行為に及んでいたことになる。断じて許すことはできない。

 県や県教委は昨年度、逮捕者が相次いだことを受け、新たな対策を打ち出した。県は仕事以外でも法令順守の注意点をまとめたハンドブックを職員に携行させ、県教委は心理学的な観点から教職員として望ましい行動を促すチェックシートを作成するなどした。

 県、県教委ともに懲戒処分を厳格化した。公務員への指導方法として恥ずべきものだが、懲戒免職になれば退職金がなくなることを説明して自制も求めている。

 それにもかかわらず不祥事がなくならないのは、現状の対策では全ての公務員の法令順守意識を高める効果が不十分という証しだ。

 研修や面談に加え、新たな対策が早くも形骸化していないだろうか。県などは、公務員としての立場や職責、不祥事がもたらす影響を自覚させることで抑止効果を引き出せるかが問われている。

 仕事のストレスが不祥事の端緒になるとの指摘がある。本年度、懲戒処分を受けた教職員の中には、不正に及んだ理由の一つとして多岐にわたる業務への不満とストレスを挙げた職員がいる。

 ストレスを理由とするのは身勝手と言わざるを得ないが、個人の意識のみに問題を帰してはならない。職場内の意思疎通が上意下達になっていたり、過度な業務を課したりしていないか、組織風土の点検と改善が急務だ。

 県庁職員や公立学校の教職員らの数は約2万5千人に上る。もし、個人的な資質の問題で違法行為などを行う人が一定割合おり、不祥事は防ぎようがないなどと考える職員がいるのであれば、県民の信頼回復は遠のくだけだ。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line