今回の原発事故を教訓に、2013年から「新規制基準」が導入され、国内の全ての原子力発電所の安全対策強化が義務付けられました。特に〈1〉自然災害への備え〈2〉非常時に原子炉を冷却するための事故対応力の強化〈3〉事故時に環境への影響を最小限にするための放射性物質の管理―の3点が強化されています。
前回は耐震設計について説明しました。
自然災害への備えは、地震や津波への対策だけでなく、火山の噴火・竜巻・森林火災への対策も要求するようになりました。
火山の噴火については、原子力発電所の半径160キロ圏内の火山を調査し、火砕流や火山灰が到達する可能性と到達した場合の影響を評価して対策を講じます。竜巻については、国内で観測された最大級の竜巻(最大風速100メートル/秒)に対しても暴風でいろいろなものが飛び散り、安全上重要な機器や配管が機能を失うことのないように対策。森林火災については、発電所周辺での火災が発電所構内に燃え広がらないように、樹木を伐採し、防火帯を整備するなどしています。
もちろんこのように対策の強化はされていますが、例えば阿蘇のカルデラや、十和田湖、屈斜路湖などがつくられたような、大規模で壊滅的な火山の噴火は、可能性は低いと考えられるものの、予知が難しいという指摘や、火山灰が大量に降った場合の対策の困難さなども指摘されています。
ゼロリスクは実現せず、読者の皆さまの感じ方もそれぞれだとは思いますが、このように自然災害への備えの強化はなされるようになりました。