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【12月27日付社説】亀岡元議員の送検/説明責任果たすべきだった

2024/12/27 08:05

 政治に対する有権者の不信感をさらに深めかねない事件だ。捜査当局には全容解明を求めたい。

 県警がきのう、10月の衆院選を巡り、選挙区内で現金を配った公選法(寄付行為)の疑いで、福島1区で落選した自民党の亀岡偉民元衆院議員(当選5回)を書類送検した。送致容疑によると、10月上旬~中旬までの間、福島市や二本松市で行われた複数の神社の秋季例大祭で二十数回にわたり、町内会などに現金計24万円を配った疑いがもたれている。

 捜査関係者によると、県警は地検に対し、起訴相当として「厳重処分」の意見を付した。

 選挙区の見直しにより、福島1区に組み入れられた二本松市でも公示前後に現金を配っていたとすれば、悪質性は高い。受け取った側は選挙での支持を求める趣旨と理解するのが自然だろう。

 今回の衆院選は政治資金パーティーによる裏金問題の発覚を受けてのものであり、政治とカネが最大の争点だった。その選挙を巡って違法行為が行われていたとすれば、議員としての適性を疑わざるを得ず、厳しい非難に値する。

 亀岡元議員は今月上旬まで、自民党県連の代表を務めていた。落選したとはいえ、県民の代表者として衆院議員を5期務めた公人だ。先週、自身の後援会の会合で経緯などを説明したが、支持者に対してのみでは説明責任を果たしたことにはなるまい。

 釈明するのであれ、容疑を認めるのであれ、亀岡元議員は有権者に対し、自らの考えを説明すべきではないか。

 亀岡元議員は安倍内閣で復興政務官、菅内閣で復興副大臣を務めた。見直し前の福島1区に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地の一部も含まれていることもあって、復興を自身のライフワークとしており、衆院選では「復興の完成に向け力をいただきたい」と繰り返し訴えていた。

 本県の復興に向けて、亀岡元議員が精力的に動いていたのは多くの人が知るところだろう。しかし、国と被災地の橋渡し役を自認していたのであれば、疑いを持たれかねない行動にはより慎重であるべきだった。

 党県連の矢吹貢一幹事長は「大変残念だ。亀岡前議員本人が今後対応していくか注視したい」としているが、傍観は避けるべきだ。この問題に厳しく対処しなければ、国会議員や地方議員にまで不信の目が向けられることにもなりかねない。捜査当局の動きと並行して、県連としても事実関係を明らかにすることが求められる。

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