いわき信用組合(いわき市)が不正融資で捻出した資金を反社会的勢力に提供していた問題で、反社会的勢力と認められる人物が2016年に江尻次郎元会長から現金1億円を受け取ったそのわずか約9カ月後に再び金銭を要求していたことが、特別調査委員会の調査報告書で分かった。特別調査委は、この人物に違法ギャンブルなどで大金を短期間に使う傾向があったとみられることも指摘し「江尻氏から反社会的勢力に対する支払いの頻度は相当に高かった」と認定した。
報告書によると、信組は14~15年、いわき市平地区のビルの売買に絡み、水増し融資を行い、水増し分として捻出された資金などの一部を、預金者に無断で口座を偽造し架空融資を行う「無断借名融資」の返済や利払いに充てたという。
反社会的勢力と認められる人物はこのビルの売買に絡む不正の口止め料として金銭を要求。江尻氏は16年12月ごろ、現金1億円を手渡した。だが、この人物は17年9月ごろから、同じビルの関連で再び多額の現金を要求するようになった。
特別調査委は知人らの話として「大金を手にしても短期間のうちに違法ギャンブルなどに全て費消してしまう傾向があったとうかがわれる」と指摘した。
こうした事情により江尻氏から反社会的勢力への支払いの頻度は相当に高く、信組が04~16年に総額約10億円を断続的に支払ったと認定。江尻氏は17年に金銭を要求された際、ようやく拒絶する決意を固めたという。
