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【ストーカーという病】不安と不信、抱え続け 相談後に被害のケースも

2025/11/04 12:30

ストーカー規制法施行から25年。雑踏の中に隠れた事件が重大な被害につながるケースも全国でやまない(写真はイメージ。本文とは関係ありません)

 「ストーカーによる殺人事件の報道を見て怖くなった」

 福島県二本松市の県男女共生センターのベテラン相談員の女性には、全国からストーカー被害者の生の声が届く。警察に相談した後もストーカー被害が続いているケースもあり「被害者は不安な思いをし続けている」と話す。ストーカー被害者の相談窓口は、警察や各自治体など複数の門戸が開かれている。その一方で、ストーカーによる殺人などの重大事件が発生し続けているのが現状だ。

 殺されるのでは

 「彼に殺されるのではないか…」。取材に答えた県外に住む台湾出身の40代女性は振り返って声を震わせた。加害者の男性が逮捕された後も、恐怖は消えない。そして、対応した県外のある警察官に対する不信感を口にした。

 女性は昨年6月に交際相手の男性と破局。するとその後、男性はしつこく通信アプリでメッセージを送ってきたり、勤務先の前をうろついたりなどの行為を繰り返すようになった。

 女性は地元の警察に相談した。しかし、「対応した警察官は逃げないのが悪いという態度だった」。自衛の方法やストーカー規制法に関することなどは何も教えてくれず、「親身になって相談に乗ってくれているとは思えなかった」と憤る。心身共に疲弊し、体重は10キロほど減少した。

 警察対応に批判

 ストーカーによる重大事件が発生すると、被害者に対する警察の対応に、厳しい批判の目が向けられることも少なくない。川崎市でストーカー被害を訴えていた被害者の遺体が住宅の床下から発見され、元交際相手の男が殺人罪などで逮捕、起訴された事件で神奈川県警は9月4日、内部検証結果を公表。危険性や切迫性を過小評価し、安全確保措置や必要な捜査態勢を取れなかったと認定した。

 この事件を受け、警察庁は被害者の安全確保を最優先に対応するよう求める通達を出した。福島県警でも、ストーカー被害者の安全確保に向け、ストーカー事案を認知した際には、被害者の安全な場所への避難や、署長および県警本部への速やかな連絡などを徹底するよう、県内の警察署に改めて指示した。

 「専門性担保を」

 大阪府を拠点にストーカー加害者の更生支援や被害者支援に取り組む任意団体「ストーカー・リカバリー・サポート」の守屋秀勝代表は、「各都道府県警や対応する警察官ごとに対応がバラバラだ」と問題点を指摘する。「警察官のストーカーに対する専門性が担保されないと市民は安心して頼れない」とし、警察官に対する教育の徹底を求めている。

      ◇

 ストーカー規制法が施行されてから今月24日で25年となる。警察庁のまとめによると、昨年、同法違反で摘発されたのは1341人で最多となり、本県でも8人が摘発されるなど被害が後を絶たない。つきまといなどのストーカー行為が重大事件に発展するケースも全国で頻発する。ストーカーになってしまう背景や課題を、被害者、加害者、識者の話から追う。

      ◇ 

 ストーカー 警察庁は、特定の個人に対して〈1〉つきまとい、待ち伏せ、見張り、押しかけ、うろつき〈2〉面会、交際、義務のないことを行うことの要求〈3〉無言電話、連続した電話・FAX・メール・手紙・SNSのメッセージを送る〈4〉GPS機器等を用いて位置情報を取得する―など10の行為をストーカー規制法における規制の対象に挙げる。国内では2000年ごろから広く認知されるようになった。

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