国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)が24日公表した開発中の薬「虹波」を患者に投与する臨床試験に関する調査報告書では、被験者に6歳の子どもや67歳の高齢患者が含まれていた。被験者が訴えた強い頭痛や目まいなど深刻な副作用の実態も初めて判明。戦時中から戦後に行われた臨床試験の人道的な課題を浮き彫りにしている。
虹波は写真の感光剤を合成した薬剤で、戦時中に旧日本陸軍が寒冷地での兵士の凍傷対策など肉体強化に役立てるため研究されたとされる。
報告書によると、臨床試験は1942年12月から47年6月まで続き、被験者は判明しているだけで472人。うち一部は年齢の記載があった。