全日本空輸と日本航空は28日、社会問題化しているカスタマーハラスメント(カスハラ)の対処方針を共同で策定したと発表した。2社ではカスハラを受けた社員の休職や離職が相次いでいる。競合する2社がカスハラの抑止に向けて連携し、暴言や過剰な要求といった迷惑行為に厳しく対応する姿勢を示した。2社は業界団体を通じ、他の航空会社にも対処方針の策定を促す。
顧客との接点が多い全日空と日航が対処方針をまとめたことで、同様の動きが産業界に広がる可能性がある。
対処方針では、カスハラ行為を「暴言」や「脅威を感じさせる言動」、「過剰な要求」、「業務スペースへの立ち入り」「セクハラ」など九つに分類。「能力を否定する侮辱的な発言」は暴言に当たるといった具体的な行為も例示し、従業員がカスハラ被害を受けたかどうかを判断しやすくした。
2社は東京都内で記者会見し、電話対応したオペレーターが顧客から「ばか、無能だな、おまえ」とののしられたり、空港で社員が「自宅まで謝罪に来い」と顧客に詰め寄られたりしたカスハラの実例も公表した。