パリ五輪の開催国フランスにルーツがあり、生まれ育った日本との懸け橋として活躍する通訳がいる。フェンシング日本代表に携わる郷倉マリーンさん(30)は2018年に採用され、フランス人コーチと選手らの間の意思疎通を支えてきた。「言葉をつなぐことで(選手たちを)助けることに、やりがいを感じる」と、使命感を胸に仕事にまい進している。
父は日本人で母はフランス人。東京都内のフランス人学校に通い、10歳の頃から外国語として学び始めた日本語は「すごく苦戦した」。アイデンティティーが日仏の間で揺れ「どっちにもなり切れないことに苦悩した」と戸惑いながら10代を過ごした。
東京女子体育大でトランポリン部に所属。来日したフランス代表の通訳を手伝ったことが転機となった。国際交流を支える仕事の面白さに「天職かもしれない」と思い至った。フリーランスの通訳として活動していたところ、日本フェンシング協会からオファーが舞い込んだ。
心がけているのは発言の直後から訳し始めるスピード感と「絶対に自分の気持ちは入れない」と黒子に徹する意識だ。