日本製鉄は23日、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄との合弁事業を解消すると発表した。中国の自動車市場では電気自動車(EV)が台頭し、日本のメーカーは販売が苦戦しており、成長が見込めないと判断したとみられる。解消によって中国の鋼材生産能力を7割削減し、米国やインドに経営資源を集中させる。
日鉄と宝山鋼鉄は2004年、欧州鉄鋼大手のアルセロールと自動車用鋼板を製造販売する合弁会社「宝鋼新日鉄自動車鋼板」(当時)を設立した。合弁契約の期間は20年で、今年8月末に期限を迎えるのを前に、日鉄は合弁を解消する方針を固めた。出資分を全て宝山鋼鉄に売却する。
日鉄グループの中国での鋼材生産能力は年間約360万トンで、うち7割を合弁会社分が占める。日鉄は解消の理由について「日系自動車メーカーの現地生産を鋼材の供給で支援するという設立当初の目的を完了した」と説明した。中国の鉄鋼メーカーの技術力が向上し、自動車用鋼板の供給を巡る競争は激しくなるなど事業環境も変化した。