柔道女子52キロ級で2回戦敗退となった阿部詩(24)。東京五輪後は人知れずけがに苦しみ「一生戻りたくないなという期間も、たくさんあった」と漏らしていた。連覇への期待、競技以外の活動…。周囲からの大きな重圧を背負いながらも挑む詩を、そばで見守ってきたのは中高の先輩岡田萌さん(24)だ。
神戸市の夙川学院中で出会った2人。既に兄の一二三(26)が有名な存在で、そんな兄を追いかけて高い目標を掲げる詩を、岡田さんは後輩ながら感心していた。「トーナメント表を見ながら、この人に勝ったら次はこの人とか考えていて、常に1番を目指していた」
忘れられないのは、詩が高1の時のインターハイ。まさかの敗退で泣き続ける詩を前に、岡田さんは声をかけることもできず、ただそばにいるだけだった。
その後の全国高校選手権では、今度は主将だった岡田さんが個人戦で負けてしまった。すると詩は「団体で勝って日本一のキャプテンにさせたい」と奮起し、見事に優勝を勝ち取った。
パリでの挫折を乗り越えていく親友を今後も静かに見守る。