広島は6日、戦後79年の原爆の日を迎えた。ロシアのウクライナ侵攻は続き、中東情勢も緊迫化。国際社会で核抑止論が強まり、核兵器廃絶に逆行する動きが台頭している。来年は被爆80年。高齢化が進む被爆者は今年も政府に核兵器禁止条約への参加を求めたが、岸田首相は否定的な態度を崩さなかった。
松井広島市長は平和宣言で、来年の核禁条約第3回締約国会議にオブザーバー参加し、締約国となるよう政府に要請。被爆者団体の代表らも平和記念式典後に広島市内で首相と面会し、改めて条約への参加を求めた。
一方、式典のあいさつで昨年同様、条約に言及しなかった岸田首相は被爆者に対しても「核のない世界に向けて前進したい」と述べるにとどめた。面会後、広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(82)は「日本の姿勢は全く後ろ向きだ」と嘆いた。
国際情勢も核廃絶を目指す流れに影を落とす。ウクライナ侵攻に停戦の見通しは立たず、イスラエルがパレスチナ自治区ガザを攻撃する。ハマスの最高指導者暗殺でイランとイスラエルの関係も緊迫している。